ヒメツチハンミョウ


ヒメツチハンミョウ
つちはんみょう科
Meloe monoko
青みがかったピカピカの黒い色です。アリではありません。これはメスの写真です。体液に有毒物質が含まれ不用意に触れると炎症を起こすことがあるそうです。2000.12.8

ツチハンミョウについて
最初にこの昆虫を見た時、アリが歩いているのかと思いました。(体長約25㎜)
昆虫に詳しい生徒(もっちゃん)に、ツチハンミョウですよと教えられ、この虫について調べると、非常に変わっているので面白く、詳しくは、集英社から出ている「ファーブル昆虫記6-ツチハンミョウのミステリー」に掲載されています。

12月8日昼、玄関の入り口を歩いているヒメツチハンミョウ(メス)を発見、この日の夕方にももう一匹(オス)見つけ、こんな寒いのによく生きているなと感心しました。翅(はね)は退化して短くお飾りといった程度、おなかは大きく膨れています。卵が沢山入っているのでしょうか。成虫になる確立が低く、幼虫たちのサバイバルは凄まじいようです。


驚かせると足を縮めて死んだフリをします。とても臆病です。この時はお尻から分泌物を出しています。お腹もピカピカです。ファーブル昆虫記によると、肢の関節から黄色い汁も出すそうで、カンタリジンという毒があるそうです。


これはオスの写真で、上の2枚の写真がメスです。オスは触覚の途中がハート型になっています。

ツチハンミョウの生態(過変態について)
(1)ツチハンミョウのメスは土の中に4千個以上の卵を産みます。※異常に多い
(2)卵からかえった第1期幼虫は強い大あごと肢にツメをもっています。アザミなどの花にのぼり登り、ハナバチ類のからだの毛にしがみつきます。登る花をまちがえたり、しがみつたのが他の虫では生き残れません。
(3)巣に戻ったハチが、卵をうむ瞬間にツチハンミョウの幼虫がぴょんとハチの卵の上にとび移ります。卵の回りはミツがあり、うまくとび移らないとおぼれてしまいます。
(4)卵を食べ終わると芋虫のような第2期幼虫になりこんどはミツを食べます。
(5)第3期幼虫はじっとしていて、サナギにそっくりの擬蛹になります。
(6)擬蛹の中でまた芋虫のような第4期幼虫になり(逆戻りの変態)、またサナギになります。
(7)サナギが擬蛹のカラを破り、外にはみだします
(8)はみだしたサナギが脱皮して成虫になります。

ツチハンミョウの幼虫が生き残ることができるのは、すごく運のいいものだけです。「苦労したんだねぇ~。」、とねぎらい言葉をかけてやりたくもなります。逆に、ハチにとっては卵をねらう天敵ですね。
山や森には、うまれつきの素晴らしい能力によって 生きる虫たちがいて、調和のとれた自然があること、虫たちの不思議や魅力を改めて学びました。

BBC制作/集団で雌蜂のふりをして雄蜂を誘うツチハンミョウの幼虫たち